スペイン生活30年・今も続く私の冒険

くま伝

日本を飛び出してみたいと考えている方々、目的を見出せず悩んでいる方々へ


第3章 スペイン民族の気質

『何でもいいから弾いて御覧なさい』


 私は昔から、何でもやってみたい、と言う好奇心旺盛な人間だった。

そして試してみて面白いと思えば、それをとことんまで追求し、

興味なしと判断すれば、すぐさま放棄すると言う極端な反応を示したものだった。

子供の頃の学業成績を見ればそれが顕著に表れているのが判る。


 恥を偲んでで公表すると、小学生時代は典型的なガキ大将。

いつも子分的存在を引き連れてはいるが、いざ学業となると劣等生。

体育と音楽の成績だけがいつもクラスで1,2位を争い、その他の科目については、

下から数えればやはり1,2位を争うというものであった。

そして中学に入ると、状況は一変する。


 何やら勉学の楽しさに目覚めたのか、突然、全ての科目に興味を示し、総合成績で

クラス内2番目の優等生にまでのし上がった。

そして、高校に入ると、自分の興味の対象が外国語に集中した。つまり、義務教育の

延長上にあった英語にである。


 そうなると高校の授業で行われた英語では事足りず、独学を始めるようになり、

英語の先生方とは、大喧嘩をするか仲良くなるか、両極端な生徒だった。

考えてみれば、得意科目の先生と喧嘩をして、授業放棄をする高校生と言うのも珍しい

存在なのではないだろうか。

そう言う意味では、一部の先生からは問題児扱いされていたのだろう。

未だに本人は問題児は先生の方であったと確信しているのだが、故人については

今更、何も語るまい。


 結果、興味を持続した英語、音楽、体育については相変わらず優等生であったが、

その他の科目にあっては、小学生時代よろしく改めて劣等生の道を歩むことになる。


 そして、大学に至っては、入学時よりスペイン留学の奨学金を得ると言う目論見が

あったため、真剣に学業に取り組んだ結果、再度、優等生の道を歩むこととなった。


 果たして、それぞれの時代に私と共通の時を過ごした学友達は、一体、この

クラスメートをどのように記憶しているのだろう、、、優等生なのか、劣等生なのか?


 そんな事はどちらでも良い。今でも私の中には、これらの両方が混在している。

興味を持てば優等生となり、興味を失った瞬間、劣等生になる。

これが、まさにスペイン人の民族性と同じであると言う事に気づくのは随分と

後の事ではあったが。


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