第46章 マドリッドのおうち(第一部)
『安全で便利な滞在場所』
前章で触れたとおり、スペインの治安は、マドリッド、バルセロナと言う2大都市を
中心にして、相当悪化していた時期があった。
旅行を控えなければならないほど深刻なものでは無かったのだが、安全且つ、
快適な旅行や滞在を楽しむためには、正確な情報収集と、的を射た対策を立てる
必要があった。
そう言った必要と思われる情報と安全対策については、すでに膨大なアクセス数を
持つに至っていたホームページ「スペインなんでも情報リアルタイム!」を通じて、
日々、伝え続ける事が出来た。
しかし、ここで一つの問題が浮かび上がった。
強盗被害が多発している状況では、泥棒が最も欲しがるもの、つまり現金やパスポート、
または、貴金属、宝石類など、現金に換えやすいものをむやみに身につけて歩かない
という事が鉄則となるが、それでは、それらの貴重品を街散策の際、どこに保管して
おけば良いのかと言えば、宿泊ホテルにあるセーフティーボックスがその主要選択肢となる。
ところが、セーフティーボックスの信頼性は別としても、そもそも、スペインを訪れる全ての
旅行者が、セーブティーボックスを完備しているクラスのホテルを利用しているか、或いは、
経済的に利用出来るか、と言えば、そうとは限らない。
学生時代の自分を振り返ってみても、当然のことながら、旅をする時には出来るだけ安宿を
探して利用したものだ。
ところが、安宿は、かなりの確立でセキュリティー上の問題が存在する。
となると、ある程度の信頼性を期待出来る、例えば4つ星クラス以上のホテルを利用出来る
経済的ゆとりのある方々は良いとしても、それが許されない方々は、貴重品の管理を
どうすれば良いのか?
これが、質問を受けても適切なアドバイスを返すことの出来ない最大の難問となって行った。
その解決策に随分と頭を悩ませた末、至った結論は、最もその必要性の高かった街、マドリッドに、
誰もが気楽に利用出来る安全な宿、「マドリッドのおうち」を作ることだった。
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