SNJ日西文化協会
セマナサンタの集い 感想

以下は、2004年度催行のセマナサンタの集いに参加された九州のYさんによる旅行記です。Yさん、ご協力ありがとうございました。

■1日目 (4/7 水曜日)

マドリッドからウベダに向かう途中、コンスエグラの風車に立ち寄り、例の名物おじさんと写真撮影しました。相変わらず「娘、美人!」「もうかりまっか!」と変な日本語を多用しておりました。(^^)
そしてドンキホーテも立ち寄ったという昔の旅篭のドライブイン(ここも有名ですよね。)で昼食。 名物の「赤ピーマンとトマトの煮こみ料理」「鶏団子と野菜の煮こみ料理」「小麦粉とにんにくの炒め物」「野菜サラダ」・・・。それぞれちゃんとした料理名を覚えていないので、こうやって読むと何だかよく分からず、しかも美味しくなさそうに見えてしまいますよね。自分の表現力の無さが悔しいなあ。でも、満足しましたよ。特に今回は野菜の濃厚な味に驚かされました。デザートも、あれは小麦粉かなあ?花の形になったものを一度揚げて砂糖をまぶし、その上にアイスクリームをのせた、やはりここの名物と言われるものを頂きました。これは話のネタくらいの味でしたが・・。
そしてウベダのパラドールにチェックインしてから焼き物のお店を中心に散策しました。
その後、日が暮れる21時からパラドールのレストランで夕食。私と友人はそれぞれ第一皿に「なすのチーズ焼き」と「サーモンサラダ」を選び第二皿は「すずきのグリル」と「牛ステーキ(300gくらい)」にしました。はずれのない味でした。何と言ってもカマレロのお兄さんがとっても陽気で気持ちの良いサービスをしてくれて美味しさも3割増になった感じです。
満腹のお腹を抱えた後、「最後の晩餐」のプロセシオンを見学してからその日はお休みしました。

■2日目(4/8 木曜日)

残念ながら時折小雨のふる天候でした。
オレンジのフレッシュジュースが美味しいパラドールレストランで朝食を済ませ、10時に出発し、車でウベダから1時間のカソルラへ。
ここは国定公園の中に位置しているらしく、グアダルキビール川の源流にも近いそうです。とてものどかでしかも雄大な景色の中にポツンと広がる白い村を、山の中腹の展望台から(標高800m程)眺めました。 はるか遠くには白い雪を抱いたシエラネバダ山脈ものぞめ、ひんやリした空気を胸一杯に吸うとシャキっと目も醒めます。高山植物のような可憐な花も点々と咲いていてなんとも贅沢な朝の散歩ができました。
その後、村に降りて行き古城をバックにした白い村のベストショット・スポットを探してこれまたお散歩。「そこまでは行かないでしょ?」と言われそうな個人宅の裏庭辺りまで侵入し(もちろん土地の方の承諾済みですよ。)、満足の行く記念撮影を敢行いたしました。
これだけ歩きますといい具合にお腹も空いて参ります。相変わらず鼻の調子絶好調のアドバイザーの佐々木さんにお任せして入ったレストランがやはり大正解!入り口のかまどに赤々と炭が焼かれている様も胃液分泌促進に役立ちました。
選んだメニューは「アーティチョークのフライ」「ピーマンとなすのオリーブ炒め」「豆とチョリソのスープ」「鹿の炭火焼き」「猪のオーブン焼き」・・これらは料理名だけで美味しそうでしょ?これにパン・コン・トマテや飲み物もついて一人10ユーロというお安さ。十分お腹一杯になってカソルラを後にしました。 ウベダに戻る前にバエサにも道草をしましたが丁度シエスタの時間帯だったのでお店も閉まっており、夜のプロセシオンに備えて街全体がひっそりとしていました。
ただ、セマナ・サンタのポスターがバエサ版はとてもステキだったのでどこかで貰えないかなぁと、またまたご一行は市役所やら警察やら「あり得ない」コースを勝手に作ってフラフラしちゃいました。ま、結局「セマナ・サンタが終ってからじゃないと駄目かな?」というご返事を頂きあっさりあきらめバエサにもさようならしたんですが・・。
で、17時にウベダに戻り、18:00〜サン・パウロ教会から出るパソとプロセシオンを見学してパラドールのレストランへ。
今回は夕食付きの宿泊でしたが、本来選べるメニューは限定されていました。ただ、3泊もするんだぞ!という権威を誇示してメニューの全てからチョイスできる有難い権利を得ました。ナイスなアドバイザー、佐々木さんのおかげです(^^)そこで今日はメニューの右下、「この地方限定のアラカルト・メニュー」(昨夜は左上から選んだのです。)を全員頼みました。お昼にあれだけ食べたのにどこに入るのかしら?と自分でも不思議なほどさらさら食しました。まず5種類のタパスの皿、次にタラのスープ、サラダ、オックステールのクレープ包み焼き、最後に5種類のデザートが盛られた皿、でフィニッシュ!・・・美味しゅうございました。
毎日よく歩いていますが、それ以上によく食べています。はい。
二日目もつつがなく終了です。

■3日目 (4/9 金曜日)

この日はセマナ・サンタの中で最も重要な「聖金曜日」です。イエスが処刑される日ですね。で、ウベダの街のあちこちの教会から様々なだしが担ぎ出されます。朝から一日中そのだしと行列を追って歩かなければなりません。ですからやはり朝食をしっかり摂って準備万端で出発しました。
ところが早朝にしとしと降った雨の影響か、朝一番で出るはずのだしが姿を見せません。どうやら行列も中止のようで一部音楽隊の演奏だけが教会の中で行われました。10体ほどのだしも教会の両サイドに据え置かれていて、多くの見学者でごったがえす教会の内部はちょっと独特の雰囲気でした。そして楽隊の演奏も終り人々も徐々に帰ろうとしているときに、「同行者の一人である赤プリさん全スペインデビュー!」のインタビューが行われたのです。まぶしいスポットライトの中でマイクを向けられている赤プリさん、堂々とした受け答えで、同じ日本人として嬉しかったですね(^^)その後パラドールの部屋に戻るたび5Chをつけてたんですが、とうとう見られず残念でした。
さて、外に出ると雨も上がり天気も回復傾向です。次ににだしの出る教会に急ぎました。やや遠い位置からでしたが教会の正門からギリギリに担ぎ出されるイエスとマリア様のだしの姿を見て感激したり、ちょうどコーナーに居たのでだしが先導者のかけ声で微妙な方向転換をする姿を目の当たりにしたりしました。 このだしの見学が終ったのが13:30。ちょっと早いお昼ご飯を摂る予定でしたが、とにかく街中の人が同じ事を考えてその行列を見終わってどっとレストランになだれ込んでいるのでめぼしいレストランは全滅でした。あきらめてパラドールのレストランでこれまた少々無理を言って、軽めのタパスをみつくろって運んで貰いました。中でも小さな玉ねぎや日本では見たことのない野菜のピクルスが丁度良い酢加減で美味しかったですね。(お土産に缶詰で買った物はと〜っても酸っぱかった!)他にはイベリコ産の生ハム、エビの塩茹で、ラ・マンチャ産の羊のチーズ、数種類のカナッペ。これで十分満足でした。
まだまだ深夜まで続く行列に体力を温存しておかなければならないので15時から18時まで各自シエスタで過ごしました。
そして19:15からサン・ミジャン教会から出るだしを見学に行きました。19時過ぎにつくとそこは既に黒山の人だかり。あまりの多さに丁度城壁の影に隠れた教会の正門から出るだしの姿を見る事が出来ず残念、と思っていると突然大きな歓声が。
そしてその歓声と拍手が沸き起こる中、私達の視界にはいきなりすごいスピードで坂をかけ上がるマリア様の姿が・・・!そしてこれまたすごい急ブレーキでそのだしは止まりました。大勢の人数で担いでいるだしとは思えない見事な統制でした。
聞くところによると、その教会の前は距離としては短いがかなり急な坂の為、ゆっくりの行進では昇りきれないので勢いでかけ上がるのだとか。アクティブなマリア様もなかなか魅力的でしたよ。そして場所を変えて同じマリア様を正面からお迎えできる広場で待ち伏せして写真を撮ってからパラドールに戻りまたまたお食事。
今夜は私達の最後の晩餐です。メニューは右上からのチョイス。(^^)前菜の盛り合わせ(コロッケ、ホーレン草のクリーム仕立て、カナッペ各種)、小羊の煮込み、しかしここでさすがに胃も最終日にしてやっと許容量に気付いたようで、デザートもそこそこに紅茶を飲んで終わりにしました。
その後は22時からパラドールの前の広場からすべてのだしが勢ぞろいして順番に行進を始めるクライマックスを迎える為に私達も広場へ出ました。ライトアップされたそれぞれのだしはどれも幻想的で、人々の感情も高まっているようでした。毎年毎年同じように行われながらも信者である彼等には毎回特別な思い入れがあるのでしょうか?単なる観光客でしかない私は2000年前の一人の人の言動に今尚多くの人々が影響を受けているこの現実をとても不思議な感覚で眺めたのでした。彼はこれだけの時を経てここまで祭り上げられた自分の立場に何と言葉を発するのでしょうか?聞いてみたい気がします。
寒い風に多分体感温度は1〜2度だったのではないでしょうか?0時頃、まだまだ行進は続いていましたが早目に私は部屋に戻り熱いお風呂に入って就寝。私のセマナ・サンタを終えました。

■最終日 (4/10 土曜日)

ウベダの街に別れを告げて車で1時間半のコルドバへ。アンダルシアの地に足を踏み入れるといきなり陽射しも強くなったように思えます。青空も見事です。大きな荷物は国鉄駅のロッカーに預けて身軽な状態になり、グアダルキビール河を挟んだメスキータの向かいのホテルのバルでちょっと一休みしてからローマ橋を徒歩で渡り、そこからユダヤ人街を散策しました。本来はコルドバの駅で解散なのですが、特別に使える時間を最大限に利用して佐々木さんがこの町の案内もしてくれたのです。
今回3回目でしたが、これまでのツアーでは触れられもしなかったセネカの銅像や、ちょっと珍しい白内障のオペをはじめて施したお医者サンの銅像、あとはじめて「痔」のオペをしたというお医者サンの銅像やらも・・・。笑いながらも12世紀に既に実施されていた事実に驚きました。アラブ人の能力の高さの象徴ですね。絶対にパックツアーではあり得ないコースを回りました。もちろん最後に「花の小径」も押さえて下さいまして、撮影会も無事終えました。
ここで時間は13:40。16時には駅に戻らなければなりませんが、一時間のフリータイムを取りました。メスキータに入場しようとチケット売り場に向かいましたが、購入までに20分以上は要しそうな長蛇の列だったため今回は断念し「オレンジの庭」でしばし涼を取り、その後お土産屋さんをぶらりとしていると時間はあっという間に経ちました。それぞれに別行動だった参加者が合流して昼食です。
ここも必ずガイドブックに掲載されるという有名店で「カバジョ・ロッホ」へ。満席でしたがタイミング良く会計を済ませている家族の席をすばやくキープしこれまた佐々木さんのお勧めメニューをすばやくオーダーしました。(なにせ時間が無いので。)まずはクリーミーなガスパチョ、にんにくが押さえ気味で飲みやすかったです。そしてイカ・エビ・イワシ・など海鮮物のフライの盛り合わせ・最後にここの名物のオックステールの煮こみ。これは周りのお客さん殆どオーダーしてました。とにかく柔らかくてゼラチンもたっぷり。デミグラスソースにもよく味が出ていてパンにつけて食べると止まりませんでした。地元のシェリー酒も口当たりがよくウキウキ気分でお店を出ました。その後、駅までの15分ほどの散歩も爽快でしたね。
16:15に駅に到着しロッカーから荷物を取って乗客の列に並び手荷物検査を受けてホームに辿りつくと2分もしないうちにAVEが入ってきました。16:40発だったんですが、結果的にギリギリだったんですね。そしてもちろん予定時刻きっかりにAVEはコルドバのホームを静かに出ました。