SUAREZ
16世紀のスペインで、武器や鎧の装飾に好んで使われた芸術である金銀象嵌細工を
スペイン語でダマスキーノ、或いはダマスキナードと呼ぶ。これは,遠くシリアの
ダマスカスにその起源を持つところから生まれた名称であろう。かつて世界最大の
王国となったイスパニア帝国の首都として栄えたトレドでは 必然的に軍事産業が
栄え、それに伴って同時に栄えたのがこの武器装飾芸術でもあったダマスキーノである。
アラブの文化に起源を持つ芸術が、半分ヨーロッパであり、半分アラブと言う複雑な
文化圏であったスペインにおいて、更に繊細な芸術として磨き上げられたのが
トレド象嵌であろう。 トレドの街を取り囲む中世の城壁には 北方に新ビサグラ門と
呼ばれる正門がある。この門から街の外へ出て少し行った所に、このトレド象嵌の老舗、
スアレスの工場がある。そこでは ダマスカス芸術の神髄を受け継ぐ多くの職人達が
その技術を競い合っている。
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